◆めまいの症例報告

[症例1. ●山●●子 51歳 主婦 初診日H14年6月]

主訴 メニエル氏病
一週間に一度の割で回転性のめまいのが発作的に起こり、不安な毎日を過ごしている。
経歴 30歳のときに突発的に難聴となる。
7,8年前からふらふらした感じになり、耳鳴りも生じた。
3年前から、激しいめまいと吐き気に襲われることが始まった。
今年もめまいで入院、その後、めまい外来の診察を受けている。
現在、激しいめまいが起こることが少なくなってきているが、逆にふらふらした感じと耳閉感が頻繁に起こるようになっている。 
所見

めまいの発症時には、周囲が反時計回りに回転していたという。
左聴力が低音域で低下
B.P. Rt. 114-82(pulse 73), Lt. 114-84(75)
閉眼片足立ち両側が不能(右へ倒れる傾向が見られた)
その他のカイロプラクティック神経学的な検査により、左小脳_右大脳半球機能低下のdiachisisと判断された。

印象  
治療 左右の小脳半球機能のアンバランスを改善 右脳への刺激と活性化
咬み合わせのアンバランスを全身から改善
メニエール氏病の患者さんは、汗をかきにくいことがあるため、漢方薬で汗がかけるように指導。
経過 閉眼片足立ち検査を毎回おこない、経過を追っていった。
右片足立ちはすみやかに改善がみられ、左片足立ちも数ヶ月後には数十秒間、閉眼で立てるようになった。
めまいの発作も、治療を始めてから2ヶ月目には起こらなくなり、この半年以上、一度もめまいが起こらずにいる。
考察

これまでのメニエール氏病の患者さんの例から、汗がかきにくいなど体内の余分な水分排泄がうまくいっていないことに気づいた。メニエール氏病は内耳に内リンパ液がたまるために起こるため、余分な水分の排泄がうまく機能していないことと関連があるのであろう。

カイロプラクティック神経学から考察すると、左内耳からの入力が少なくなっていたため、左右の小脳半球の機能差が生じていたと考えられた。血行障害などなんらかの原因で、左側の前庭_小脳系で不安定性が生じたとき、均衡が崩れめまいが発作的に発症するものと考えられる。身体的な刺激効果によって、小脳機能のバランスのとれた安定化をはかることが大事であり、徒手医学的な治療が効果的である。

 

[症例2. 志賀 57歳男性、長距離ドライバー 初診日H14年12月20日]

主訴 回転性めまい
経歴 H9年、くも膜下出血で入院 H10年
自転車に衝突し転倒、右後頭部を打つ、意識を失い入院
翌日からめまいが発症し、その後一年半つづく
H14年12月17日、大きなくしゃみがきっかけで、回転性のめまいが再発
所見

上を向いたり下を向いたりするときにめまいと、いつ起こるかわからないめまいに対する心理的な不安感、焦点を合わそうとするときのめまい感を訴える。 両側の耳鳴り(金属音)
血圧:右上腕172-83(脈拍89)、左上腕170-83(89)
右小脳機能低下のアンバランスを示す所見が認められた(回内回外反復転換運動、片足立ち、眼球運動)。ロンベルグ検査(閉眼両側立ち)でふらつきなし。眼振も診られなかった。
福田遮眼書字検査:遮眼において著しく傾斜した文字列となった(右列は開眼での書字、左列が閉眼での書字)。

印象  
治療

小脳半球のアンバランス(右小脳機能低下による左右)を改善させることを目的に、上部頸椎深部筋に対して右方向から軽い刺激。

治療直後に、片足立ちが両側とも10秒近く立つことができたため、福田遮眼書字検査で治療結果を確認した。ほんの軽い刺激であったが、著しく改善が見られた。治療後の開眼時の書字(右列)と、閉眼における書字(左列)。

経過

治療終わった時点では、あまりにも軽い刺激治療であったため、これで治るのかといった不満そうな表情であったが、上記の検査結果に改善が見られたのでこれ以上の刺激は不必要であることを告げ、様子を知らせてもらうことにした。

数日後に電話があり、不思議なくらいめまいが消えてしまったと喜びの声だった。その後も、めまいは起きていない。 一度の刺激で回転性のめまいが解消したケースで、カイロプラクティック神経学による診断の重要性を示す典型的なケースであった。

考察

 

 

[症例3. 川上 56歳男性、カイロプラクター  初診日H14年8月 ]

主訴 めまい感、浮遊感、もともと右の難聴、耳鳴りあり
経歴 6月に奥様が亡くなられ、その後から発症。
若いときに器械体操で頸部や背部を痛める。
若いときに器械体操をやっており、はげしく頸部や背部を打ったことがしばしばあったということで、頸椎症と左上腕への放散痛が慢性的にあった。
下部胸椎に右凸の側彎があり、第3胸椎から頸部に逆向きの彎曲となり、胸郭の著しい歪みがある。
右後頸筋の緊張が強く、後頭部に歪み感が触感できる
所見

BP; Right 115/78 (70ml, 82), Left 113/82 (62ml, 76) Supine 105/70 (66ml, 65) - - Standing 97/71 (63ml,69)

慢性的な頸痛、背部痛あり。片足立ち検査では、左右とも閉眼できわめて不安定であり、特に左片足立ちは1秒も立てない状態であるのが特徴的である。

回転性めまいの発症時に、右から左に目が回った。

福田遮眼書字テストで右に流れる傾斜(20度):右列開眼時の書字と、左の二列閉眼時の書字(検査時にはめまいが起きていない)。

印象  
治療

血流改善のための身体呼吸運動の促進と右大脳機能低下を主眼にし、その改善を目的として数ヶ月ほど治療をおこなってきた。回転性のめまいの発現は月に一、二回の程度に減ったが、なかなか片足立ち検査で左側のみ改善がみられなかった。

めまいが発症する前兆に注意を払ってもらったところ、右後頭部が重くなると発症しやすくなることがわかった。胸郭の歪みと後頭部の頭蓋の歪みが構造的な見地から問題があり、歪みを矯正することが必要であった。
骨格を矯正し、胸郭と脊柱の歪みを改善した後に、ようやく片足立ちが比較的うまくいくようになった。彼自身治療家であり、彼のコックステーブル(牽引治療台)を用いた治療姿勢がいつもきまったかたちになっており、そのために骨格に歪みをもたらし、後頭骨に付着している筋の緊張から頭蓋に歪み感をもたらしていることが明らかであった。
後頭骨から、内耳が位置する側頭骨へと頭蓋の歪み感が、めまいを引き起こしやすくする構造的な要因になっているようであった。また奥様が亡くなられたことからの消沈から右脳の機能低下、気力低下も大きな問題であった。

めまいを起こさないためにも、定期的な徒手医学からの治療が必要とされる。

経過

現在、めまい発症から1年が経ち、めまいの発作もほとんど起きずにいる。

考察

めまいが起きているときに、「右から左に目がまわった」ということを考慮すると、眼は右から左へ緩やかな回転(眼振)があったことが考えられる。
前庭眼球反射からすると右水平半規管の興奮が起きていたことになる。検査をおこなっているときは、回転性のめまいがおさまっている。回転性めまいがないときの遮眼文字の偏書は右に流れている。このことから安静時には左亢進_右低下の前庭-小脳機能のアンバランスを示唆する。左方足立ちがまったくできないのは、右の前庭小脳機能が低下し、相対的に左が過度に亢進しているためであろうか。

回転性のめまいが発症しているときには、右の内耳で前庭神経の亢進が生じていたものと考えられる。虚血によって神経細胞の不安定な状態が引き起こされるのであろう。右耳はもともと難聴・耳鳴りがある。めまいの発作が起きてすぐに来院したときに、左片足立ちができ、右ができなかったことがある。


[症例4. ●○林○和 33才、女性、会社員 ]

主訴 ふらつき感、むくみ、眠れない、便秘、尿が出にくいなどの不定愁訴
顔のひきつれ、頸部肩凝り、腰痛、足底のつれなど右半身に症状が偏っている。仕事での慢性的な疲労の蓄積があり、休日は寝て過ごしていると言う。
経歴 --
所見

”左片足立ちで頭がフラフラしてくる”、左片足立ちよりも、右片足立ちふらつきが大きい。
視運動性反射Optokinetic responseをみると、左から右方向への縞模様の動きに対して、不快感を示す。 ”お腹がむかむかする”
BP: Rt. 107-72 (pulse 111), Lt. 110-71 (110)
右瞳孔反射が左より遅い

印象 --
治療

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経過

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考察

ふらつき感は一般に心因性のことも多い。しかしこのケースでは心因的な要因に対して、身体的な反応をしめさなかった。心因的な検査方法は、患者を仰向けにして、検者がさまざまな状況を頭に思い浮かべるような言葉を投げかけ、そのときの患者の左右の脚長差の変化をみて左右の筋緊張の変化を観察する。この方法は心因性の問題を探ることができるようである。なんらかのストレスに関わること(情景、言葉など)を投げかけると、脚長差に著しい変化が現れる。

このケースは神経学的な失調によるふらつきとみなすことができた。神経学的な平衡失調をもたらす要因は慢性的な疲労による脳循環調節の異常と考えられた。また背景には、運動不足など生活習慣的な問題もあるようである。

 

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