眠れない方のために

身体(からだ)の水分は60%といわれますが、脳は80%ともいわれ、脳の内部と外部は脳脊髄液で満たされ、脳室の中から湧き出る脳脊髄液が、睡眠時に脳の中に浸透し間質液となり神経細胞の間を揺らぎながら流れてゆきます。βアミロイドなどの毒素ともなり得る老廃物を静脈と静脈周囲腔へと押し流し、リンパへと流出して行くことが最近明らかにされました。こうした、脳の中の水(間質液)の流れは、深い眠りの徐波睡眠時に大きな波になっているという報告があります(Science 2019)。

 

息を詰めて、常に緊張して仕事をしている人は、呼吸性の自律神経のHF成分の揺らぎはなくなり、交感神経の活動に関わるLF成分の揺らぎが支配的になっています。触れていると揺らぎはほとんど感じられません。呼吸も浅く、背中はパンパンで、胸にはまるで(よろい)を纏っているような感じです。息苦しさや、脈が乱れるのは不思議ではありません。もっと大事なことは、深く入眠できないことが問題です。慢性的な疲労を招いてゆきます。健康な日々は深い睡眠があってこそといえます。

 

施術は、全身にひろがる呼吸の波動を感じ取り、滞りのある部位を見つけて施術しています。

 

 

呼吸は、循環系と一緒になって身体の隅々までおよんでいます。身体の緊張はさまざまに分布し、身体を歪めています。身体の緊張と歪みはもとをたどれば、習慣的な身体の使い方や不良姿勢によりますが、さらにたどれば脳の支配下にあるともいます。深いリラックスした呼吸は、そうした緊張を緩解させてくれます。驚くほど自然に歪みが解消されることも珍しくありません。正直なところ身についた緊張パターンの抵抗を崩すには結構気力を使いますが、葛藤するなかで自発的に湧き出るリズムがあり、そうなると無為自然に任せる気持ちになります。